志学通信 第6号

自分で考える

生徒とのひと時(著者左)

 通信制高校に在学している生徒たちが実感しているのは、「時間の使い方を自由に決めることが出来ること」ではないでしょうか。全日制の生徒の様に周りの決まり、言葉や体制に乗って、何も考えずにレールに乗るのは楽かもしれない。しかし、自分が通信制高校で学ぶことを決めた生徒は、自分で時間の使い方を考えながら、一歩を踏み出し、日々を暮らしている。

 昔、私が高校生の時のはなしです。アメリカ人の友人と文通していた。私は、周りの意見に流されて、「親がこうしろと言う、友達がこう言う」と、状況判断で物ごとを語っていた。ある時、彼から、「ご両親や、友人がどう言うのかは分かった。それでは貴方の考えはどうなの?」と、聞かれた。

 自分はどうなのか、その思考回路を持たなかった私は、驚き、そして自分に問いかけた。自分の頭で考え、自分の心の中を覗き、必死に考えて、自分の言葉でそれを表現した。

 彼は、「君の考え方は素晴らしい」「素敵じゃないか、良いね」と、褒めてくれた。その時の認められた喜びは、とても大きくて、それは私が初めて自分の人生を歩み出した時だったと感じている。

 年を重ねて、今振り返ると、その時から何がやりたいか、自分で決めて自分で歩いている。そうすると、多少苦労はあっても乗り越えられる、自分で決めた道を自分で歩いている。そう考えられることは何より幸せだ。自己実現といえるだろう。

日本人は自分はどうするかと考える癖がついていないと思う。

 たしかに人と違う事を自分で決めて歩き出すのは大変だと思う。だがそこには喜びがある。

現在通信制高校で学んでいる生徒は、それを踏み出した。

君たちに大いなる拍手を贈りたい。

 内閣府経済社会研究所から発表された「人間にとって一番幸せを感じる生き方は何か」という発表で、「自由に行き方を決めることが出来る」実感の規定要因という2016年3月に発表された報告書を読んで考えた事でした。

2020/11/27(Y.Y)

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