作戦会議

後期に入り、三年生は進路をきめる時期がいよいよ本格的となってきます。

願書記載のために志望理由を書いたり、小論文に取り組むなど、自分と向き合う時間が増えてきます。いきなり自分のことを述べよと言われて立ち止まる生徒。原稿用紙を二時間も三時間も眺めて時が過ぎていく生徒も少なくありません。特に長所と短所を述べよと言われてしまうと、戸惑ってしまうようです。大人になってもつらつらと言える人はあまりいないでしょう。

「ねえ、わたしの長所ってなんだとおもう?」

「私、人見知り!初めての人には話しかけられないの」

と、言いながら、職員室で自己推薦文を書いていると、自然に彼女の周りに同級生も下級生も集まってきました。志望理由やその経緯を尋ね、ワイワイ言いながらみんなで彼女のことを分析し始めます。「そんなこと親に頼むの?自分でやらなきゃ」なんて自分のことを棚に上げて偉そうに下級生があ~だこ~だと言ったりしています。みんなで願書のために作戦会議をしているようです。

自然に生まれる交流を微笑ましく眺めたときに彼女が言いました。

「わたし、ここ来てちょうど一年だけど、

ず~っと居るみたいって、みんなに言われる。」

学校に行きたくないと不登校となりながらも、

決意した顔があった一年前をふと思い出しました。

 

人見知りという彼女にとっては、

ここに来た最初の一歩はきっと大きな決断だったことでしょう。

いまこうして、周りを照らしながら笑い声が絶えないこの景色、

すべてがとても愛おしく感じました。

 

人一倍の苦労も努力を重ねて通信制高校で学んだことは、進学や就職へと進んだ先にきっと己の力となって発揮されていくことでしょう。

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