志学通信 第13号

毎日、毎日

わが校の一番広い部屋は、時々は授業に使うが、それ以外は、生徒が自由に使っている。時々は自習、時々はみんなが集まって食事、など 交流の場にも使う。 この広い部屋に、ミュージックコースのために使っていたピアノを置いた。

N先生がつくった誰でも弾ける「猫ふんじゃった」楽譜で、早さを競って遊んだり、ピアノをみんなで楽しむシーンがみられた。

2,3か月前から、午後3時ころになると、必ず同じ音が聞こえてくるようになった。最初の頃はたどたどしく、一音一音、楽譜を拾っていた。

毎日、毎日聞こえてくる。だんだん音が増えて、「あっ有名なあの曲・・・・」と分かるようになった。同じことの繰り返しで、毎日、毎日きこえてくる。彼女は今までピアノを弾いたことがなかった。「でも、好きだから、やってみたかった」と、誰に言われるのでもなく、毎日、毎日繰り返す。あんな 大曲 「チャレンジやなあ」と、思う。

やがて、曲として流れてくるようになった。N先生が「こうやってペダルを使うと、表現力が増すよ」と教えた。

今では、自信のないところ繰り返し、練習しているシーンが見られる。

自分の意志で、やりたいことをコツコツと、毎日進める高校生。

今では、彼女が弾き始めると耳を澄まして、曲を楽しむ様になった。聞こえてくるのを楽しみにしている。ベートーベン作曲 ピアノソナタ月光 第一楽章。

毎日やることコツコツ練習することの大切さを、改めて彼女に教えてもらった。

私も彼女に刺激されて、あきらめかけていた趣味の馬頭琴を、ちょっと早起きして、毎朝、早めに登校。いつかは、聞いてもらえる演奏ができる様に、必ず練習する様になった。

2021.6.7(Y・Y)

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